Episode Story #01 お客さまに従業員の一員として受け入れていただき、
貴重な経験を重ねて、
ますます強まった全てのお客さまへの想い。

Episode Story

Prologue

落海 悟Satoru Ochiumi

法人業務部
社会学部卒 / 2011年入社

2018年9月も末のある朝、落海は、所属する姫路支店の統括部長に呼ばれた。「明日、スーツを着用して本店に行くように」。何事だろう。部長の表情や雰囲気から推察するに、特に悪い話ではなさそうだが…。翌朝、落ち着かない気持ちで本店を訪れると、役員会議室に通され、人事部担当の役員から思いがけない内示を聞いた。「君は、勉強のため約2年間地元企業や地方公共団体で仕事をしてもらうという、若手社員対象の業務出向制度・第二期の一人に選ばれた。君の出向先はH食品だ。早速10月から行ってもらうことになる。ぜひ実り多い2年間とするように」。確かに、そういう制度がその春にできたことは聞いていたが、まさか自分が対象に選ばれるとは。大いに驚きつつ、出向先の社名を聞いて、不安より先に期待がふくらんだ。

#01

Sentence 01 以前から魅かれていたBtoCのメーカーでの
2年間に向けて、期待と緊張が交錯。

落海は、当時入社8年目。主に法人営業の担当者として経験を積み、しばらく前からは特に新規開拓に力を注いで実績を重ねていた。かつて就職活動ではメーカーを志望。活動中に地元志向が強まり、多様な業界の多彩な経営者の方々と接点が持てる銀行の法人営業の魅力に気づいて、みなと銀行を選択した。しかし、落海のメーカー好きはその後も変わらず、特に自分たちに身近なモノをつくってトレンドを生み出すBtoCのメーカーの仕事には、特に魅かれるものを感じていた。
まるでそこを見透かしたような、今回の出向。H食品といえば、言わずと知れたレトルトカレーのメーカーだ。内示を聞いてから詳細を調べてみると、薬種問屋として創業し、日本初の国産カレー粉の製造・販売をスタートさせた元祖カレー粉メーカーだという。今では各種レトルトカレーを中心に家庭用・業務用の多様な商品を展開し、スパイスにこだわる味づくりで多くの支持を集めている。もちろん、みなと銀行にとって、長年お取引いただいている大切なお客さまでもある。「ご迷惑はかけられないからプレッシャーはあるけど、仕事は絶対におもしろそうだ。わからないことは勉強させていただきながら、精一杯やってみよう」。期待はますますふくらみ、その分、緊張も高まった。

#02

Sentence 02 明快なビジョンのもとに用意していただいていた
“業務”に、苦労しながらも楽しく対応。

落海を受け入れてくださったのは事業推進室だった。H食品にとっても期間限定で外部から若い出向者を受け入れるのは全く初めてのこと。当初は戸惑いがあったという。それでも、「うちの部署なら、中期経営計画の進捗管理やデータ収集・事業構造解析に銀行員としての知識と経験を活かしていただける。さらには、商品企画や広報、商品展示会の企画など、モノをつくって発売し、宣伝活動を行っているため、メーカー特有の一連の業務を経験していただけるという想いもありました」とY室長。熟考の上、明快なビジョンのもとで受け入れをご決断いただいていた。
こうした温かい配慮に導かれ次第に緊張も溶けた落海は、スムーズに新しい仕事に溶け込んでいった。商品ごとの売上データをもとに事業構造を解析する業務などでは、「すぐに内容を理解し、目的をいえばすぐにそれに合った資料を作ってくれる。表の作り方やデータの出し方なども工夫されていてわかりやすく、とても助かりました」とY室長。

しかしそんな落海にも、人知れず重ねた苦労はあった。たとえば、当初からさまざまな会議に同席させてくださったのだが、そこで議論されている内容が一向に頭に入ってこない。それまでにも銀行の法人営業担当として食品メーカーさまからお話を聞く機会はあったものの、話題になるのは主に数字のこと。上司や先輩から数字以外のことにも目を向けるよう指示されてはいたが、業界の細かい商習慣や生産に使う機械の名称などにまで踏み込む機会は皆無だった。それが突然、業界の専門用語が飛び交う中に入ったのだから、困惑するのは当然だった。わからないことはなんでも「聞く」のが落海の流儀だが、少なくとも基本的な専門用語などは頭に入れておかなければ、何がわからないかもわからない。そこで、わからない単語に出合うとすぐに書きとめ、あとからネット検索などで調べて記憶することを自分に課した。たとえば、食品表示法ではアレルギー物質7品目を「特定原材料」に定めて表示を義務づけ、20品目(その後21品目に変更)を「準特定原材料」に定めて表示を推奨している。また、物質が意図せず混入することを「コンタミ」と称し、アレルギー物質のコンタミ防止には徹底した対策がとられている。こうした基本的な知識が広範囲に身についてきて初めて、周囲の会話についていけるようになった。

#03

Sentence 03 手がけた商品を世に送り出す苦労と喜びも味わい、
企業を支援する仕事に、込めるべき心を学んだ。

すると、そうした成長を待っていたように、デザイン会社とやりとりしながら新商品のパッケージデザインやカタログ、チラシなどのデザインを決めていく商品企画業務、商品展示会への出展企画や準備、開催当日の会場での対応といった販売促進業務、テレビや業界誌の取材対応などの広報業務などを、次々に経験させていただくことができた。「経験の乏しい第三者の意見の方がかえって核心を突くこともある。より消費者目線に立ちやすいという強みもある」。そう考えた落海は、違和感を感じたことに対しては積極的に意見を伝えるよう心がけた。真剣に耳を傾け、どんどん意見を取り入れてもらえるのもうれしかった。こうして、新商品の立ち上げからお披露目の場まで一貫して関わることができた。

そして、最後に待っていたのが、某有名旅行雑誌とのコラボカレーシリーズのリニューアルという大仕事だった。人気観光地の特産品などを活かし独自のご当地カレーに仕上げて、旅行雑誌風の旅気分満載パッケージでしっかり目を引くこのコラボカレーは発売以来好評で、注目度も高い。そのリニューアルに向け、H食品側の担当者として出版社側の担当者とやりとりして契約書を交わすところからスタートし、共にリニューアルの方向性を決め、新しい味づくりに挑戦していった。出版社側の意見を開発部門に伝え、試作と試食を繰り返して完成度を高めていく。シリーズ商品の全てが、関係者全員が納得し、自分自身も太鼓判を押せる味に仕上がった時の喜びと達成感は、やはり格別だった。並行してパッケージデザインの変更も進め、最初から最後まで担当者として関わり続けた商品がついに形に…。これが、ラインで大量生産され市場に出ていくと思うと、月並ながらまさにわが子を世に出す親の心境だった。
こうして2年間の業務出向は、期待以上の多様な経験を重ねて幕を閉じた。コロナ禍によりコラボカレーの発売が半年延期され、残念ながら後任に引き継いだが、そのことも含め、実に思い出深い2年間となった。

2020年10月、出向を終えた落海は、本部の法人業務部商品企画チームの一員となった。現在は、りそなグループで進める「お客さま向けサービスの共通化」プロジェクトの一環として、既にりそなグループで扱っている商品・サービスをみなと銀行用にカスタマイズし、みなと銀行のお客さま向けにリリースするための準備を進めている。システムベンダーとの要件定義の確認作業や、外部委託業者への発注、契約締結業務、関係当局への申請業務などが中心で、外部の方々とお金以外の話をする機会が多く、2年間の経験は即座に仕事に活かされている。もちろん、それ以外にもお客さまの会社に受け入れていただいて初めて見えてきたことは多い。落海は、今後もさまざまな業務を担当していくなかで、常に業務出向を通して得た気づきを活かし、よりお客さまの立場に立った仕事を心がけていきたいと願っている。

VOice お客さまの声

H食品Y事業推進室長の声

みなと銀行さんに対して、会社として期待するのはやはりビジネスマッチングなどの情報です。これまでお付き合いのない企業さんに飛び込みでお話を聞いていただくのは非常に難しいことなので、ご紹介いただくだけでも価値は大きいと思っています。また、今回の業務出向に関して担当者として期待するのは、落海さんに知っていただいた当社や当業界の実情を、落海さんだけでなく会社全体で共有していただきたいということです。それによって、より痒いところに手の届く、的を射た支援へとつなげていただければ、落海さんの2年間の頑張りも一層活きてくることと思います。