Episode Story #02 お客さまと共に地域に貢献できる喜びを教わり、
地域金融機関としての
みなと銀行の存在感を再認識した2か月間。

Episode Story

Prologue

中本 達也Tatsuya Nakamoto

小野支店 営業課 課長
経済学部卒 / 2011年入社

中本は、コロナ禍で波乱の年となった2020年の春を新天地で迎えた。新しい所属店舗は小野支店。個人営業2人、法人営業4人の部下を束ねる営業課長を務める。入社以来、9年の時を重ねてきたが、その間には、若手の視野と経験を広げるために設けられた外部の民間会社への出向制度により、1年間リースの業界も経験した。銀行の本業については本人としてもまだまだ経験・スキル共にとても十分とは思えないなかでの、初の管理職就任だった。しかし、弱音を吐いてはいられない。温かい社風のみなと銀行では、こんな時、周囲がそれぞれの立場で新任課長を支えてくれる。スタッフ一丸で地域のお客さまの期待にお応えしていけるよう、わからないことは周囲に教わりながら全力で職責を果たすこと。そう自分に言い聞かせ、期待と不安が相半ばする新しい一歩を踏み出した。

#01

Sentence 01 小野支店で初の管理職に就任し、
コロナ禍における使命に奔走する日々。

コロナ禍の嵐は、新天地の小野支店で活動を始めたばかりの中本の周辺でも容赦なく吹き荒れた。突然収入が激減し、融資を希望される法人も多い。社会全体に経済活動の血液であるお金を行き渡らせるという金融機関の機能がとりわけ重要となる状況下にあって、内に秘めた使命感が、中本の心を熱く駆り立てた。
5月には、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」の一環として、民間金融機関における実質無利子・無担保融資の制度もスタート。日々の対応に追われてこれに気づかずにおられる個人事業主や小・中規模事業者の方々に、いち早く仕組みをご案内して、制度をご活用いただかなければならない。営業課長として4人の法人営業担当職員を助け、漏れのないご案内に奔走する日々が続いた。同制度が対象とするのは売上減少の要件を満たす事業者の方々であるため、実際にご利用にまで至ったケースでは例外なく「これで一息つける。本当に助かった。ありがとう」と、喜んでくださる。実際、息を吹き返したように対策を実行し、コロナ禍に立ち向かっていかれる様子を目の当たりにして、やりがいを実感する機会も相次いだ。
一方で、小野支店のエリアには、コロナ禍をものともせず、逆に売り上げを伸ばしておられる企業が少なくないことも見えてきた。もともとインバウンド需要との関係が薄く、その消失による打撃がほとんどなかったこと、そろばんや家庭刃物などの伝統産業の中で生き残ってきた老舗企業は、長年蓄積してきた資産に支えられ、時代対応力にも優れていることなどがその理由と察せられた。

#02

Sentence 02 医療従事者・医療機関の支援に向けて
「みなと地域医療応援私募債『感謝』」スタート。

ようやく緊急の融資もほぼ行き渡り、それ以外のことに余力を向けられるようになってきた6月下旬、本部から通達が届いた。7月から、「みなと地域医療応援私募債『感謝』」の取り扱いを開始するという内容だ。私募債は、一定の財務基準を満たす優良な企業が、金融機関または信用保証協会を引受人として発行する社債で、財務状況次第では数年後に一括償還といった返済形式が選べるなどのメリットがあり、資金調達の一手段として活用されている。みなと銀行では、お客さま企業と手を携えて地域に貢献したいという想いから、2016年7月、引受手数料の一部で寄贈品を購入し、発行企業さまが指定する教育機関などに寄贈させていただく「地域貢献寄贈型私募債『あゆみ』」の取り扱いを開始。多数ご利用いただいてきた実績がある。今回の『感謝』も同様の仕組みを持った私募債で、寄贈/寄付先が新型コロナウイルスと闘う医療従事者や医療機関となる。
この通達を受け、中本は、営業の最前線に立つ一人として、窮地にありながら献身的に闘いを展開しておられる医療従事者や医療機関に少しでも報いるために1社でも多くのお客さまにご活用いただこうと奮い立った。そして、ご提案先として真っ先に頭に浮かんだのがK社だった。

K社は、小野の伝統産業である刃物、中でも鎌、鍬、斧、鉈などの土壌工具の製造を経て、近年では芝刈り機や芝用品に特化したこだわりのものづくりを展開しておられる業歴150年の老舗企業だ。小野支店とは、三井住友(当時さくら)銀行時代から長年のお取引があり、2000年の営業譲渡によってみなと銀行に変わった時に、当時の頭取の地元重視・中小企業重視の姿勢に共感され、そのままお取引を継続くださったという経緯がある。社長は敏腕で知られ、今般のコロナ禍においては、いずれ部材の供給が途切れることをいち早く予測し、中本の前任者を通じて資金を調達して入手可能な部材をことごとく購入されたと聞いている。実際、『感謝』についての通達があった6月末には、すでに他社が部材切れでラインを止めるなか、ただ一社休みなく生産を続けておられた。
先々の分まで大量仕入れが済んでいるため、当面、大きな資金需要は見込めないかも知れない。しかし、この先も活発な企業活動が予想され、やがては新たな資金も必要となってくるだろう。さらに、過去の記録を確認してみると、『あゆみ』も取り扱いを始めた時から度々ご利用いただいていた。「それならば、『感謝』もぜひ折を見てご紹介させていただくべきだ」。こう判断した中本は、7月1日のリリース後、1か月ほど時期を待って社長の元を訪れた。

#03

Sentence 03 心と心が響き合ったK社訪問。
地域への想いは、ますます強まって。

社長は想像以上に、『感謝』のご利用に前向きだった。
「いつも助けていただいているみなと銀行さんと共に、この大変な時期に医療機関に感謝の意を伝えられるのは実にありがたい。医療機関の現状を思うと寄贈は少しでも早い方がいい。せっかくリリース直後でもあり、できれば一番乗りといきましょう」。 まずは新しくできた私募債『感謝』についてご案内させていただき、追々資金が必要になった時にご利用をご検討いただこうと心づもりしていた中本にとっては、うれしい誤算となった。「地域のために一刻も早く」という社長の想いがひしひしと伝わってきて、医療関係者の献身に報いたいという中本の想いと響き合い、瞬時に今自分がなすべきことが見えた。即座に案件の組成に着手し、最大限のスピード感を持って手続きを推進。上司の協力や、K社との長年の取引実績と信頼関係が奏効して、最速ともいえる短期間で稟議も通り、とんとん拍子で成約へとこぎつけた。

社長が指定された寄贈先は、小野・三木両市の統合病院である北播磨総合医療センターだった。K社は小野市屈指の老舗企業であり、みなと銀行は指定金融機関として小野市とのつながりが深いことから、市もこの寄贈を大きく歓迎。関係者の方々の数々の善意に支えられ、10月2日には新型コロナウイルスと闘う病院において、病院トップに直接寄贈を行う寄贈式も実現することができた。『感謝』の寄贈式としてはまさに“一番乗り”。お客さまと心を一つにスピードにもこだわった取り組みを進め、今後にもつながる好事例をつくり、地域に貢献できた今回の経験を締めくくるにふさわしい、うれしい晴れの場となった。
これまで中本が行なってきた仕事を通じた地域への貢献といえば、法人や個人のお客さまをご支援することによる間接的なものがほとんどだった。ところが今回は、お客さまと共に、直接的に地域に貢献することができた。その喜びは大きく、みなと銀行が持つ地域金融機関としての存在感の大きさも、改めて実感することができた。「今後も、お客さまはもちろん地域全体が成長できる取り組みに果敢に挑んでいきたい」。大きく視野を広げてくれた今回の経験に感謝しつつ、中本の目は、すでに未来へと向いている。

VOice お客さまの声

K社 社長の声

無借金経営を誇っていた企業が業績を落とすのは、無借金であるがゆえに、融資だけでなく広い範囲に及ぶ銀行からの経営支援を受けられないからです。私は、銀行と親しくお付き合いさせていただくことも、良き経営者としての大切な条件の一つと考えています。当社はみなと銀行さんとは長年お付き合いさせていただき、その歴史を何よりも大切に考えています。今後もメインバンクとして多様な情報の提供など幅広いご支援をいただきながら、共に地域に貢献していければと願っています。